参院選直前、自民党が選挙向け漫画を公開しました。それについての毎日新聞の記事を参照してみましょう。

自民党 選挙向け漫画が変 「軽いノリじゃダメですか?」

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「軽いノリじゃダメですか?」。仲間内のイベントならばいいのかもしれない。でも、この言葉は、自民党が5月に発表した政策パンフレット「国に届け」の中で描かれた漫画のタイトルなのである。今夏の参院選から新たに18歳の若者が有権者になる。そこで投票を促そうというわけだが、その内容から透けて見えるものとは−−。【江畑佳明】

主人公の女子高生、好きな男子に近づくため参院選勉強 「無知で感情的」女性観浮き彫りか、若者を勘違い


ストーリー


 漫画のストーリーを紹介しよう。主人公は高校3年生の女子生徒、安田アスカさん。彼女が思いを寄せる浅倉君は、イケメンで女子にモテモテの生徒会長、さらに母親が地元の議員という設定だ。

 浅倉君は友人の佐藤君と人口減少問題を話し合う。共通の話題を見つけたいアスカさんは「さんいんナントカって私も行けるんだっけ!?」と浅倉君に話しかけるが、「そんなことも知らねーの?」「親にでも聞いてみろバーカ」とダメ出しされる。

 それでもアスカさんは「仲良くなるチャンス!?」と、浅倉君、佐藤君と一緒に投票に行く約束を取り付ける。投票前のアスカさんは自宅のベッドで寝そべりながらスマートフォンで投票の手順や候補者を確認。「候補者ってそれぞれ理念とか志とかあるんだ……。じゃあこの人にしよっかな」と投票先を決める。投票の日、アスカさんは「私なりに理念とか志とか調べたもん!」と胸を張る。浅倉君は「若者が政治に参加したらもっと未来が明るくなるかもな」とチラリと笑顔を見せる。

(略)

・女性をバカにする自民党


 「選挙に行って」との願いをよそに、この漫画には多くの批判が出ている。「『女子高校生は政治的な問題を深く考えなくてもいい』というメッセージだと受け取られても仕方ありません」。こう指摘するのが、「欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差」の著書があるジェンダー・漫画研究家の堀あきこさんだ。

 堀さんは「アスカさんは参院選自体を知らず、投票を、好きな浅倉君に近づくチャンスとしか捉えていません。しかも投票前にちょっと調べただけで、佐藤君に『へえ、えらいね』とほめられる。佐藤君は別の場面で『僕たちも何かしなきゃね』と話すのですが、政治を主体的に考える男子とアスカさんとの落差があまりに大きい」と憤る。

 この漫画を読んだ東洋大助教(政治学)の林大介さんは「うーん」と腕組みをしたまま困った表情を浮かべた。各政党の政策パンフなどを使って高校生が模擬投票をする活動を続けている林さんの率直な感想は「この漫画を見て投票に行こうという気持ちになるでしょうか。なぜ『若い力が必要』なのかが全く伝わってきません」。

(略) 

・若者をバカにする自民党


 若者世代の投票率が低いといわれて久しい。その理由について林さんは「『政治は自分に関係する身近なもの』という意識が薄いから」と説明する。このパンフに収録された座談会では、若手国会議員が「白票だっていい。ぜひ投票に行ってください」と呼びかけるのだが−−。

 これに対し林さんはこう強調する。「政党は政治を分かりやすく伝える努力をすべきなのに、『白票でも構わない』と言ってしまうのは、無責任。白票で投票率は上がりますが、棄権と同じ。何の意思表示にもならないし、選挙結果に影響もしない。未来が明るくなるとも思えません

 高校の現場では、教員が文部科学省から「政治的中立」を求められ、苦悩しながら有権者教育を進めている。この漫画とのギャップは大きい。

 漫画家はどう見ているのか。皮肉やユーモアの利いた4コマ漫画で知られるやくみつるさんは「10〜20歳代は世間のしがらみに毒されていない純粋な投票行動が可能な貴重な世代」と若者世代に期待する。そして「私が漫画で投票を呼びかけるなら」と一呼吸置き、こう語った。

 「若者に『きちんと考えて投票しないと、こんな暗い未来が待っているぞ』と負の側面を描きますね。若者が将来感じるであろう社会の不公平さへの憤りを先取りして、知らせたい。例えば『コネを使った就職が横行する世の中でいいのか?』とかね」

「女性はものを考えない」「女性は馬鹿」という自民党の女性観


 前出の堀さんは、もう一つ深刻な問題点を強調する。「自民党の女性観が浮き出ている」というのだ。

 自民党は昨年4月、「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?」という漫画を発表。曽祖父、祖父、父、母、孫の一家が登場し、主に曽祖父が現行憲法の問題点を解説する。母親(29)は、憲法記念日の新聞の「憲法改正」の見出しに「私は不安で仕方ないのよ〜っ。憲法改正なんて〜っ」と泣き出し、夫や祖父が改憲についての態度をごまかすと「そんなんで家族が守れんのかああーっ」と怒り出す。

 また安保関連法制が国会で議論されていた時には、ショートアニメ「教えて! ヒゲの隊長」を作製。女子生徒「あかりちゃん」が「日本は戦争に巻き込まれちゃうの?」といった素朴な疑問を投げ掛け、元自衛官の参院議員、佐藤正久氏が答えるものだ。

 堀さんはこう指摘する。「これらの漫画、アニメでは『知識ある男性』と『無知な女性』という性役割が描かれ、女性を一段低く見る姿勢が貫かれています。かつてポスターで主張したように、まさに『ブレない』自民党です

 このアニメを巡っては、隊長があかりちゃんに論破されるパロディー版の動画がインターネット上に投稿され、100万回以上再生された。堀さんは「これほどヒットしたのは、『無知な女性』を描く自民党へ、多くの人が反感を抱いたことも一因ではないでしょうか」と分析する。ことは女性の尊厳の問題に及ぶのだ。

 「若者は軽いノリでいい」。自民党がそう考えているなら、大きな勘違いと言わざるを得ない。

毎日新聞 2016年6月2日

まとめ

・過去の自民党の漫画も含め、自民党は一貫して「賢い男性」と「バカな女性」を描き続けている。

・自民党は「きちんと考えて投票」することを求めず、自分に都合のいいものだけを求めている。

・きちんと考えず自民党に投票すると、自由も民主主義もない、女性蔑視で、自民党に都合のいいものだけが認められる社会が待っている。



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