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ビジネスジャーナル 2015年5月26日
 
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5月10日未明、「パナマ文書」の内容が「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)のウェブサイトに公開された。パナマ文書をめぐっては、アイスランド首相が資産隠し疑惑で辞任し、イギリスのキャメロン首相も亡父の租税回避疑惑で窮地に立たされている。大騒ぎになっている海外と日本の報道の温度差は明らかだ。(略)


報道の自由度は72位

 国際NGO「国境なき記者団」(RSF、本部・パリ)が発表した2016年の「報道の自由度」ランキングで、日本は72位だった。RSFは、180カ国・地域を対象に、各国の記者や専門家へのアンケートも踏まえてランキングをつくっている。日本は10年には11位だったが、14年は59位、昨年は61位と年々順位を下げてきた。

 1位はフィンランドで、オランダ、ノルウェーが続く。欧米主要国では、ドイツが16位、カナダが18位、英国が38位、米国が41位、フランスが45位、ロシアが148位。ベルルスコーニ元首相のメディア支配が有名なイタリアも77位と順位が低い。東アジアでは台湾が51位、韓国が70位、中国が176位、北朝鮮が179位。最悪の180位はアフリカのエリトリアだった。

 中国や北朝鮮の順位が低いのは当然としても、韓国よりも日本が下というのは、驚く人も多いのではないか。韓国といえば、産経新聞が掲載したコラムをめぐって同社支局長が韓国検察から名誉毀損で起訴され、出国禁止処分された14年の事件が記憶に新しい。その韓国よりも下である。実態はともかく、少なくとも海外はそう見ているということだ。


既得権益にしがみつくマスコミ

 日本の順位が下がっているのは、自民党の政権復帰、安倍政権の誕生と時期が一致している。実際、RSFのアジア太平洋地区担当、ベンジャマン・イスマイール氏は特定秘密保護法について、「定義があいまいな『国家機密』が、厳しい法律で守られている」としており、記者が処罰の対象になりかねないという恐れがメディアをまひさせていると指摘した。高市早苗総務相の「停波発言」も日本の印象を悪くしている。放送局が政治的な公平性を欠くと判断した場合、放送法違反で電波停止を命じる可能性もあるとした発言だ。(略)

 また、4月に発生した熊本地震を受けてNHKが4月20日に開いた災害対策本部会議で、籾井勝人会長は「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と発言した。NHK記者が独自に取材したニュースは報道するなということだろうか。籾井氏は14年1月から会長職を務めているが、安倍首相の“お友だち”が多数送り込まれたNHK経営委員会によって選出された人物だ。

 このままでは、来年はさらに日本の順位が下がるかもしれない。 (文=横山渉/ジャーナリスト)

・ポイント

2016年「報道の自由度ランキング」で日本は72位

これは「問題がある」と判断されるレベルである

これは産経新聞支局長を起訴した韓国よりも低い順位である

2010年に11位だった数字は、安倍政権になると同時に急降下した


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