復興大臣は、本来被災者に寄り添う立場にある人間であろう。しかし、「強者に助け弱者をくじく」がスローガンの安倍政権に、そんな意識は微塵もない。


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日テレニュース24

記者会見でブチ切れた今村大臣。記者からの質問にいら立ち、「ここは公式の場なんだよ」「論争の場じゃない」と言いながら、その公式の場で大臣がブチ切れて会見を打ち切るという醜態をさらした。


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大臣の責任を追及する記者に対しブチ切れた今村大臣だが、案の定産経は記者の質問の方を非難する。

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産経新聞4月6日

産経は、質問した記者が在日外国人、慰安婦、原発等のテーマに関心が高く「安倍政権に批判的な姿勢が目立つ」ことをとりあげ、安倍政権を糾弾するためだけに行った非生産的な質問だと非難。そして産経は、今村大臣は記者の「術中にはまった」被害者であることをアピールした。これは「術中にはまった」のではなく、記者が今村大臣の「本音を引き出した」と言うべきであろう。相変わらず、「政権を追求する」どころか政権に寄り添う御用聞き新聞らしい、実にアホな新聞である。


余談だが、安倍の盟友である百田尚樹も「よくぞ怒鳴ってくれた」と今村大臣を称賛している。「大臣である前に男だ」「大臣は辞めたってどうということはない。しかし男を辞めたら終わりだ」と百田は言う。別に男を辞めないでいいから、大臣は今すぐ辞めてほしいものだ。(これが擁護のつもりなところが、百田の頭の悪いところだ)



さて、それはそうと、今村はブチ切れたことについてはその日のうちに謝罪した。そもそも会見で自分をコントロールできないだけでも大臣としての資質に欠けるように思うが、問題は「自主避難者は自己責任」という発言である。


当初、今村は「言葉の使い方がよくなかった」と述べ、「自己責任」という考え方自体は撤回しなかった。

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FNN

ところが、これが大きな問題となった。ブチ切れたことよりも、この「自己責任」という発言の方が問題なのである。

激昂する今村復興相の姿は、各局のニュース番組でも報じられたが、冷静さを欠いて怒鳴り散らしたことだけではなく、むしろ、その発言内容の方が問題だろう。環境NGO「FoE Japan」の満田夏花氏はこう批判する。

「今村復興相は、自主避難を続ける人々について自己責任だと切り捨てましたが、原発事故子ども・被災者支援法では、原発を推進してきた国に、自主避難者も含め被災者救済の責任がある、とはっきり書かれています。被災者支援のキーとなる法律に反する発言をしたという点で、今村復興相は厳しく追及されるべきだと思います」。

原発事故子ども・被災者支援法の成立のため、尽力した川田龍平参議院議員も、こう苦言する。

「当事者に寄り添う視点が欠けている政府に真の復興ができるのか?と首を傾げざるを得ません。怒鳴った事よりも、復興を担当する政府の代表に、被災者が今も置かれている現状への想像力がなさすぎる事に危機感を感じます」。

約2万6000人いるとされる福島第一原発事故による自主避難者には、小さな子どもを抱えた母親だけで避難したケースも多く、経済的にも困窮している。西中氏が「(自主避難者を)路頭に迷わさないでください!」を叫んだのも、そうした現実があるのだ。
志葉玲


今村の発言の翌日には国会前で今村の辞任を求めるデモが行われた。これらが効いたのか、今村は「自己責任」という言葉を撤回した。しかし、それも所詮はただの「逃げ」であった。


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東京電力福島第1原発事故の自主避難者に対する発言で批判を浴びている今村雅弘復興相は7日、記者会見で「(帰還は)『自己責任』という言葉に触れたことが誤解を与えてしまい、反省している」と謝罪し、発言を撤回した。辞任については改めて否定した。
毎日新聞4月7日

今村の「自己責任」という発言は「誤解」なのだそうだ。一体何が誤解だというのか。私には正直に本音をそのまま話したようにしか思えない。


政治家は問題発言の後、いつも「誤解」と言って逃げる。「悪いのは自分ではない」という責任逃れの言葉でしかない。


今村は過去に福島県の生産物の風評被害について、「生産者の努力が足りない」と発言したこともある。この男が大臣の資質に欠けていることは火を見るよりも明らかだ。

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朝日新聞4月7日

今村だけではない。稲田や金田など、多くの大臣が信じがたい発言を繰り返し、安倍は何度も任命責任を追及されてきた。


だが、「安倍一強」と呼ばれる中、安倍は解任を避け、大臣も辞任せず、うやむやのまま次の話題に移るということが繰り返されてきた。これがかつての政権であれば、何度大臣が辞任し、内閣が総辞職しているかわからない。


今村のような男が辞任も解任もされないというこの状況は明らかに異常だ。健全な民主主義のためには、権力が一人に集中することなく、間違っていることは間違っていると指摘されないとならない。党も省庁もみんなで安倍様をマンセーして守ろうとする現状は、とてもではないが健全な民主主義とは言えない。現在の政権はまさに「ミニ北朝鮮」と化している。安倍様の任命責任が問われることがないよう、こんな男でさえ解任することができないのだ。


安倍自民は、「自由」と「民主」を自称するのであれば、今村や稲田や金田のような男は即刻解任せねば、国民に対する背任行為であり、そこに自由と民主など微塵も存在しない。


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